徒花異譚 感想

Liar-soft制作、そして何よりさっぽろももこ先生が関わっていらっしゃる。
この時点で買わない選択肢はなかった。
普通に嘘屋から発売されていれば素直に賞賛できたのだが…。

adabana

このゲームを終えて一言。
感動した。神ゲーだわ。
いや二言かもしれんが素晴らしかった。
世界観構築、そしてそれに伴う登場人物の心情の変化。
どれをとっても秀逸。
こんな作品には久しく浸っていなかったな
ATRI」と比べて注目度が低いようだけど、こちらの方がよっぽど面白い。
何に一番近いかと問われれば、物語の設定自体は「紙の上の魔法使い」に近いか…。
いや全然違うんだけど、少しだけね。
物語に沿った展開と言えばアレが真っ先に思い浮かんでしまう。
あそこまで重くはなく、むしろダークな感じが良いアクセントになっている。

adabana1

御伽噺がメインの本作にはあの特徴的な原画がかなり合っているんだね。
御伽噺をテーマに持ってきつつも、それがメインになりすぎずあくまで白姫の物語…。
ただ既存の物語に沿うだけでは駄作だしね。
こういった物語の発想は一体どこから出てくるのか。
天才としか思えない。
徒花荒らしや紙魚といった要素も、全く変な印象を与えない。
まるで、あたかもこの世に存在することが当然であるかのような錯覚に陥らせられた。
これはおそらくであるが、プレイしている自分が完全に御伽噺、もとい夢の中に入りこんでしまっていたのだろう。
あたかも自分の目の前におとひめ様がいるかのような。
桃太郎がいるかのような。
そんな感覚に捕らわれるのだ。
幼い頃の私たちは、そのようにして物語の世界に没頭していたのではないだろうか。
いつの間にか、穿ったものの見方しかできなくなり、物事を、物語を、客観視しているような気分に浸る。
それで満足できるのかもしれないが、果たしてそれで、物語を心の底から楽しめたと言えるだろうか。
物語を楽しむ上での根本的な感覚を、この作品は思い出させてくれた

adabana3

さて、夢と現の話に入ろう。
本作では、夢を絶対的な悪とはしていない。
夢と現、どちらを自分の世界とするかで、存在状態が変化するだけだ。
ただ、半分夢の中にいるのにも関わらず、現にも足を踏み入れると、その人物の世界が規定されず、存在できなくなる。
そういうことが言いたいのではないかと推測する。
つまり、世界とは、自分自身が生きると決めた空間のことであり、それを設定することができていないのであれば、その人物の存在理由がなくなってしまうのだ。
当然のことであろう。
ひょっとすると、この私たちが生きている世界も夢かもしれない。
ただ、私が今いるこの空間を世界と認識しているだけで、ある日目が醒めると、そこは縄文時代かもしれない。
同じことである。
自分自身を御伽噺の中の登場人物として夢の中に自分の世界を見出すか、あるいは現実を自分の世界であると設定するか、ただそれだけのことである。
行動自体に何の違いもありはしない。
彼女がどちらを選択するのか。
それによって黒筆との関係が変化するだけである。
現を抜かすとは、先人はよく言ったものだなとつくづく感心してしまう。

adabana2

個人的にはやはり、現ENDが好みである。
夢ENDも決して悪くはなく、全く嫌いではないのだが、やはり黒筆と歩む姿が見たかった。
だが、そこは流石非18禁。
エロゲなら確実にHシーン入るやろ。
本当にノベルゲーとか言って逃げるのはやめてくれんかね
素晴らしいゲームが台無しなんだわ。
Hシーンがなければ白姫と黒筆、あるいはおとひめと浦島太郎、そういった登場人物の親密具合が測れんやろが。
非18禁はホントにクソ。
嘘屋はまだ良いと思えるのだが、ATRIの方の前翼と枕はマジで許さん。(買ったんだけどね)
アニプレも中途半端なことはせずに次はエロゲで出せ


全体として

物語自体は今年の新作の中ではトップ。
それだけにエロゲでないことが悔やまれる。
大石竜子先生の原画…。
素晴らしすぎてもっと嘘屋の作品もっとプレイしようと思ったね。
システム協力にシルプラがいたことには笑ってしまったが。
あそこも嫌いだから反吐が出るけど。(割と買ってる)
アルファナイトホーク系の嘘屋新作にも期待している。